ネットやテレビなどで「発達障害の子には特別な才能がある」「発達障害の人は天才が多い」といった情報を目にすることがあります。
わが子の記憶力や数字への興味、好きなことへの集中力を見て、「もしかして、この子にも特別な才能があるのかな?」と考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、発達障害だから特別な才能がある、と考えるのは少し注意が必要です。
大切なのは、「天才かどうか」を判断することではなく、その子が持っている得意なことや、生活の中で困っていることを知ることです。
今回は「発達障害は天才」と言われることがある背景に触れながら、それに惑わされない心の持ち方についてご紹介していきます。
発達障害の子は「天才」なの?

発達障害のある子どもの中には、特定の分野で周囲が驚くような力を見せるケースがあります。
たとえば、一度見たものをよく覚えていたり、数字や計算に強かったり、好きな分野について大人顔負けの知識を持っていたりすることもあります。
一方で、こうした特徴はすべての発達障害の子どもに見られるわけではありません。
ある能力が非常に高いからといって、生活の中で困ることが少ないとも限らないものです。
「好きなことには長時間集中できるけれど、気持ちの切り替えは苦手」「数字は得意なのに、身支度には時間がかかる」といったように、得意と苦手が大きく異なる場合もあります。
そのため、「天才」という言葉で子ども全体を評価するより、「この子には、こういう得意なところがある」と捉えるほうが、その子自身を理解しやすくなります。
なぜ「発達障害=天才」と言われるの?

発達特性のある人の中には、興味を持ったことに強く集中したり、独自の視点で物事を捉えたりする人がいます。
さらに、特定の領域で突出した能力を発揮する「サヴァン症候群」などが知られていることも、発達障害と才能が結び付けられる理由の一つです。
しかし、突出した能力を持つ人は一部に限られます。
SNSやテレビでは、目を引く「驚きのエピソード」が紹介されやすい傾向もあります。そうした情報ばかりを見ていると、「発達障害なら何か特別な才能があるはず」と期待してしまうこともあるでしょう。
けれども、診断名だけから、その子の才能を決めることはできません。
「才能が見つからないから、この子には特別なものがない」と考える必要はないのです。

わが子の「得意」はどう見つける?

子どもの得意を知りたいときに、特別なことを始める必要はありません。
まず注目したいのが、子どもが自分から繰り返していることです。
数字を並べることが好き、図鑑を何度も見る、乗り物の名前をたくさん覚えている、絵を描くことに夢中になるなど、日常の何気ない行動にヒントがあります。
大切なのは、「上手にできるか」だけを見ることではありません。
「何をしているときに楽しそうか」「何なら大人に言われなくても取り組むのか」という視点を持ってみましょう。
得意は、必ずしも目立つ能力とは限りません。
集中して遊べること、好きなことを人に伝えられること、細かな違いによく気づくことなども、その子の大切な強みになり得ます。
「得意」と一緒に「困りごと」も見よう

発達特性のある子どもには、得意なことと同時に、生活の中で苦労している部分がある場合もあります。
音や触感が苦手だったり、予定の変更に強い不安を感じたり、人とのコミュニケーションですれ違いが起きたりすることもあるでしょう。
「記憶力がいいのだから、これくらいできるはず」と考えてしまうと、子どもへのプレッシャーにつながる可能性があります。
得意なことと、支援が必要なことは別々に考えて大丈夫です。
得意は一緒に喜び、困っている場面には環境を整える。そんなふうに両方の面から子どもを見ていきましょう。

才能を伸ばす前に、安心できる環境を

「せっかく得意なことがあるなら、早いうちから伸ばさなければ」と焦る必要はありません。
幼児期は、まず好きなことを安心して楽しめる環境を用意することが大切です。
数字が好きなら、カレンダーや時計を一緒に眺めてみる。絵が好きなら、自由に描ける場所をつくる。図鑑が好きなら、親子で一緒にページをめくってみる。
成長の土台は安心でできています。
家庭で気づいた「好きなこと」や「困っていること」を、保育園や幼稚園の先生に共有するのも一つの方法です。
家庭と園、それぞれの場面での様子を知ることで、その子に合った関わり方を考えやすくなるでしょう。
まとめ|「天才」ではなく、その子自身を見つめよう
発達障害の子どもすべてに、特別な才能があるわけではありません。
一方で、特定の分野で優れた力を発揮する子どもがいるのも確かです。
だからこそ、「この子は天才なのかな?」と考えるより、「この子は何が好きなんだろう?」という視点が大切になります。
そして、得意なことだけでなく、苦手なことや困っている場面にも目を向けてみましょう。
子どもの価値は、突出した才能があるかどうかで決まるものではありません。
「好き」「得意」「ちょっと苦手」「困っている」――。
その一つひとつを知っていくことが、その子らしく安心して成長できる環境づくりにつながっていきます。



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